デスクトップPC自作 SSD選定 「Crucial CT1000MX500SSD4/JP」を選択

下記記事に続いて、デスクトップPC自作のパーツ選び、今回はSSDの選定です。

デスクトップPC自作 ケース選定 「Fractal Design Define R6 USB-C」を選択
デスクトップPC自作のパーツ選び、今回はケース選定です。 静音性、5インチベイ有り、冷却性、組立作業性、USB Type-C端子などの観点から、Fractal Design のDefine R6 USB-C を選択しました。

SSDはPCのシステムファイルやデータを保存する内蔵ストレージです。
HDDに比べて容量単価が高いですが、速度が圧倒的に早いのが特徴で、システムドライブはSSD、データ保存用ドライブはHDDという使い方をしている方も多いと思います。

私が7年前に自作した時は、SSDが今ほど普及していなくて、価格も高かったため初めはHDDのみで組みました。その2、3年後にSSDを買い足して、システムドライブをHDDからSSDに買えたときは、あまりのサクサクっぷりに感動したものです。

最近はM.2規格とかNVMeとか以前SSDを購入したときには見かけなかったものが普及してきているようで、その辺りの情報収集もしつつ、SSDを選定しました。

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結論

最初に結論を書くと、CrucialのMX500 CT1000MX500SSD4/JP を選びました。

CT1000MX500SSD4/JP | Crucial MX500 M.2 SATA接続SSD 1TB | CFD販売株式会社 CFD Sales INC.
PCパーツの総合サプライヤーCFD販売「CT1000MX500SSD4/JP」の製品情報。定評のあるMXシリーズに最新の3D NAND フラッシュテクノロジーを組み合わせた高速M.2 SSD 1TB CT1000MX500SSD4/JP

この製品の特徴を列挙します。

・容量は1TB
・形状(物理的規格)はM.2 2280
・接続規格はSATA
・NANDチップはMircron製 3D TLC

SSDについての予備知識

SSDとHDD

PCの内部ストレージとしては、主にHDDとSSDの2種類の記憶媒体が使われています。

それぞれの特徴を簡単にまとめます。

◇HDD
Hard Disk Drive(ハードディスクドライブ)の略です。
データを記憶するプラッタという円盤が高速で回転して、その上を磁気ヘッドが動いてデータの書き込み、読み出しをします。

◎HDDのメリット
・SSDと比べて、容量単価が安い
・SSDと比べて、大容量の製品がある

◎HDDのデメリット
・SSDと比べて、データ読み出し、書き込みの速度が遅い
・物理的な駆動部があるため、衝撃に弱く、作動音が出る

◇SSD
Solid State Drive(ソリッドステートドライブ)の略です。
NAND型フラッシュメモリという記憶素子を用いたストレージで、データの書き込み、読み出しは電気信号で行われるため、物理的な可動部はありません。

◎SSDのメリット
・HDDと比べて、データ読み出し、書き込みの速度が早い(特にランダムアクセスでは圧倒的な差がある)
・物理的な駆動部が無いため、衝撃に強く、作動音が出ない
・HDDに比べ小型で、2.5インチ、M.2など色々な形状の製品がある

◎SSDのデメリット
・HDDと比べて容量単価が高い
・HDDと比べて、1ドライブの容量の最大値が小さい
・故障した際にデータの救出がHDDより難しい

SSDはHDDに比べて、データ読み書きの速度などメリットが多いです。
ただ、最近はだいぶ容量単価が下がってきたものの、HDDと比べるとまだまだ高いため、データの保管用はHDD、システムドライブはSDDというように併用している方が多いと思います。

2.5インチとM.2 ~形状の違い~

SSDには形状の種類があり、主なものとしては2.5インチSSDとM.2 SSDがあります。
それ以外にPCIeカードタイプなどもありますが、ややマイナーかと思いますので、ここでは省略します。

◇2.5インチSSD
2.5インチSSDは、縦70mm×横100mmのケースに収められています。(厚みは9.5mmと7mmのものがあるが、7mmのものが多い)

◎2.5インチSSDのメリット
・現状はM.2 SSDより容量単価が安い

◎2.5インチSSDのデメリット
・M.2 SSDと比べて、サイズが大きい
・電源と通信用の2本のケーブルを挿す必要があり、ケーブルの取り回しなど煩雑
・通信規格がSATAに限られ、データ転送速度が最近のNVMe規格のSSDに比べると劣る

◇M.2 SSD
M.2 SSDは2.5インチSSDより後から登場したもので、基板が剥き出しの外観になっていて基本的にはマザーボード上のM.2 スロットに直接挿しこむ形になります。
幅は22mmと決まっていますが、長さは複数種類あり、2242(42mm)、2260(60mm)、2280(80mm)、22110(110mm)というフォームファクタがあります。
自作用のM.2 SSDは基本的に長さ80mmのM.2 2280のフォームファクタになっています。

◎M.2 SSDのメリット
・2.5インチSSDに比べて、サイズが小さい
・M.2 スロットに挿してネジで固定するのみなので、ケーブルを使わずに済む
・NVMe規格の製品では、データ転送速度がSATAに比べ数倍高速

◎M.2 SSDのデメリット
・現状は2.5インチSSDに比べて容量単価が高い

基本的には新しく出てきたM.2 SSDの方が色々な面で利点があります。
価格は2.5インチSSDの方が安いですが、現状はそれほど大きな差ではなく、M.2 SSDが普及してきているようです。

SATAとNVMe ~通信規格の違い~

SSDの通信規格はSATA(シリアルATA)とNVMeの2種類があります。

◇SATA
SATAはHDDでも主に使われている通信規格で、2.5インチのSSDは基本的にSATAで接続します。
M.2 SSDで通信規格がSATAの製品もあります。
SATA(SATA3.0)は接続帯域が理論値で6Gb/s(600MB/s)となっており、近年のSSDだとSATAの帯域がボトルネックになってしまいます。
そこで、後述のNVMeが登場した訳です。

◎SATAのメリット
・NVMeに比べて、発熱量が小さい
・NVMeに比べて若干コストが安い(現状はほぼ変わらなくなってきています。)

◎SATAのデメリット
・NVMeに比べて速度が遅い

◇NVMe
NVMeはPCI Expressを接続帯域として使用されており、SATAに比べて高速なデータ通信に対応しています。
現在主流はPCIE3.0×4を用いたもので、接続帯域が理論値で32Gb/s(3200MB/s)とSATAに比べて5倍程度となっています。
さらに最近は第3世代Ryzen で使える製品で、PCIE4.0×4を用いて接続帯域が理論値で64Gb/s(6400MB/s)というものも登場しています。(今出ている製品では接続帯域以外がボトルネックとなりデータ転送速度は5000MB/s程度のようです。)

NVMeは通信速度の面でSATA を圧倒しているのですが、一方で発熱量が大きいというデメリットもあり、ヒートシンクを付ける等の配慮が必要なようです。

2.5インチSSD でNVMe を採用しているものは(私の知る限り)無く、NVMe の高速通信を求める場合は、M.2 SSD を選択する必要があります。
M.2 SSD にはNVMe仕様とSATA仕様の製品があり、M.2 なら全て2.5インチより高速という訳では無いので注意して下さい。
また、マザーボード側のM.2 スロットもNVMeのみに対応したもの、SATAのみに対応したもの、両方に対応したものなど種類があるので、その辺りの仕様は十分に確認した方が良いです。

◎NMVeのメリット
・SATAに比べて、通信速度が速い

◎NVMeのデメリット
・SATAに比べて、発熱量が大きい
・SATAに比べて若干コストが高い(現状はほぼ変わらなくなってきています。ただしNVMeの中で安い製品は速度が控えめなことが多いです。)

SLC、MLC、TLC、QLC ~NANDの違い~

SSDに使われているNAND型フラッシュメモリですが、微細化のみで大容量化するのが難しくなってきて、マルチビットセルという技術が使われるようになっています。

正確な説明をする自信が無いのですが、当初1つのセルに1bit(0か1か)のみを記録していたのを2bit以上の記録をすることで、面積当たりの大容量化を達成するという技術です。

現在SLC(1bit)、MLC(2bit)、TLC(3bit)、QLC(4bit)があります。
(MLCはMulti level cellの略なので、3bitや4bitのものもMLCとも言えますが、おそらく最初にマルチビット化した時に2bitのものをMLCと呼称した名残で、MLC = 2bitが一般的となっていると思われます。サムスン製品ではTLCではなく「3bit MLC」と呼称していたりもします。)

マルチビット化により、容量単価が下がるメリットがある一方で、読み書き速度や耐久性の面では不利になってくるようです。

現在主流なのはMLCとTLCだと思います。低価格帯ではTLCが多い印象です。
QLCは容量単価が安いモデルとして、最近出てきており、速度や耐久性のスペックは若干劣りますがコスパ重視であれば選択肢に入れても良いと思います。

また、スペックに3D NANDと書かれている場合がありますが、これはセルを垂直に積層することで面積当たりの容量を増やす技術で、マルチビットセルとは別物になります。

製品によっては3D NANDとだけ書かれていて、スペックシートだけだとよく分からなかったりします。「製品名+(MLC or TLC or QLC)」などでググって製品紹介記事などを探してみると分かる場合もあります。

参考にさせて頂いたサイト

予備知識を得るために特に参考になった頂いたサイトを紹介します。

【2022年】おすすめSSDまとめ。QLC/TLC/MLCやNVMe/SATA3.0など最新SSD事情を徹底解説 : 自作とゲームと趣味の日々
MLC/TLC/QLC/PLCのマルチレベルセルやNVMe/SATA3.0、PCIE4.0など2022年最新のSSD事情について徹底解説、実機レビューした中からオススメな自作PC用の最新SSDを用途や価格別に比較して紹介します。

↑こちらのサイトはマルチビットセルなど、図も交えて非常に分かりやすい説明が載っていました。

【2024年版】おすすめなSSD「10選」:SSDベンチオタクの筆者が解説 | ちもろぐ
年額1500ドルもするSSDベンチマークを契約するほどSSD沼にハマっているSSDオタクの筆者が、2024年時点でおすすめできるSSDを「10個」に絞って解説します。もちろん、実際に使ったSSDからおすすめを厳選しました。

↑こちらのサイトはHDDとSSDの違い等が、分かりやすくまとまっており、おすすめ製品の紹介もありました。

M.2 SSDおすすめ10選/最新PCIe5.0・PCIe4.0接続別
出典:www.amazon.co.jp出典:www.amazon.co.jp PCの起動速度や動作について「より快適なものにしたい!」というのは、誰しもがもっている願望ですよね。そこで提案したいのが、「M.2」のSSDです。これを導入すれば

↑こちらのサイトはSSDの一通りの情報や、おすすめ製品の紹介がありました。

私のSSD選定方針

前置きが長くなりましたが、私がどのような方針でCrucialのMX500 CT1000MX500SSD4/JP を選択したかを書きたいと思います。

容量 ~システム+データ一時置き場として1TBを選択~

まず最初に容量を決めました。

私の場合SSDはシステムファイルを入れるのと、写真のRaw現像時や画像処理時などに一時的にデータを置くという用途で使おうと思っています。
データについては最終的にはHDD保存にしようと思っています。

このような使い方であれば500GB程度でも足りるかと思ったのですが、SSDもだいぶ容量単価が安くなっており、1TBでも1万円台前後の製品があります。

また、容量ぎりぎりの状態で使い続けると速度や寿命的に不利になるらしいということもあり、余裕をもって1TBの容量に決めました。

2.5インチかM.2か

次に物理的な形状ですが、これはあまり迷う余地なくM.2 にしました。

SATAにするかNVMeにするか両方の選択肢がありますし、大きさがコンパクトで取り付けも簡単というメリットがあります。
価格面は若干2.5インチが安い傾向がありますが、最近ではあまり変わらなくなっています。

SATAかNVMeか

次に通信規格ですが、これはSATAかNVMeかでかなり迷いました。

迷った挙げ句SATAを選びました。選択の理由は下記の2点です。

①NVMeは発熱量が大きい
SATAと比べるとNVMeは発熱量が大きいというデメリットがあります。

サーマルスロットリングといって、温度が一定以上に上がらないようにする仕組みが入っていますが、これが作動するとデータ転送速度が落ちてしまいます。
また、常に温度が高めの状態だと、故障の心配など精神衛生上も良くないです。

そのため、NVMeのSSDを使用する場合はヒートシンク(例えば下記リンクのようなもの)を取り付ける方が多いようです。

HM-21 | Ainex
自作パソコン用パーツ・パソコン周辺機器・サプライ製品の企画・開発・卸売・販売業務を行なうアイネックスのウェブサイトです。取り扱い400アイテム以上!

逆に言えばヒートシンクを付ければ問題無く使用できているということなので、過剰に心配する必要は無いかもしれませんが、私としては考慮すべきデメリットに感じました。

②速度差を体感できない気がした
Twitterやブログなどを見ているとSATAとNVMeで速度差が体感できないという方がけっこういるようです。もちろんベンチマークでは明確な差が出ますし、体感できるというレビューもありますが、私の印象では半々よりは体感できない派が多い気がしました。

HDDからSSDで圧倒的な差を体感できたのはランダムアクセスの速度が数十倍、数百倍というレベルで違ったからです。

それに対しSATAとNVMeはシーケンシャル、ランダムアクセスともに数倍程度の差に留まっています。数倍でもすごいことですが、HDDとSSDのような劇的な変化ではないのであまり体感しづらいのかもしれません。あるいは他の要素がボトルネックになって、SSDの速度差が効いていないという可能性もあるかもしれません。

差を感じられそうな場面としては、数GB以上の大きなファイルの転送などが考えられますが、同じドライブ内のコピーを除くと、転送元、転送先もNVMe並みの速度が無いとそちらがボトルネックになってしまいます。
NVMe SSDを2つ積んでいたり、SATAの帯域がボトルネックになるような高速な外付けドライブなどを使っている場合は大いに差を感じられると思いますが。

ということでNVMeの最大の利点であるデータ転送速度が、今の所私には活かせないのではないかと思いました。

この2点の理由で、SATAを選択しました。(ちょっと保守的な選択だった気もしますが。)

購入候補に上がった製品

SATA、NVMe含め、購入候補として検討したM.2 SSD製品を一覧表にしました。

基本的には1TBのM.2 SSDで低価格帯の製品を候補として考えました。

※表中の価格は2019年9月15日時点 価格.com最安値

メーカー
製品名
価格 容量 形状 通信規格 NAND シーケンシャル速度 TBW 保証
Crucial 
MX500 CT1000MX500SSD4/JP
12380円 1TB M.2 SATA 3D TLC Read:560MB
Write:510MB
360 5年
WESTERN DIGITAL 
WD Blue 3D NAND SATA WDS100T2B0B
13445円 1TB M.2 SATA 3D TLC Read:560MB
Write:530MB
400 5年
インテル
SSD 660p SSDPEKNW010T8X1
11800円 1TB M.2 NVMe 3D QLC Read:1800MB
Write:1800MB
200 5年
Crucial
P1 CT1000P1SSD8JP
11980円 1TB M.2 NVMe 3D QLC Read:2000MB
Write:1700MB
200 5年
トランセンド
TS1TMTE110S
12980円 1TB M.2 NVMe 3D TLC Read:1700MB
Write:1500MB
400 5年

 

今や最安製品ではNVMeの方が安くなっています。

ただし最も安いインテル SSD 660p SSDPEKNW010T8X1Crucial P1 CT1000P1SSD8JPはNANDがQLCで、TBWも控えめな数字になっています。他と同じ5年保証ですし、普通の使い方ではあまり問題無いかもしれませんが、少し耐久性に不安を感じます。
TLC NANDでNVMeという条件だとトランセンドのTS1TMTE110Sが最安製品のようです。

この価格帯のNVMe製品はSATAの3倍程度の速度でNVMeの中では遅めの部類ですが、SATAと同等のコストで、気軽にSATAを超える速度を手に入れたいという方には良い選択かもしれません。

M.2 SATAの製品はNVMeより少なく、今後はNVMeが主流になっていくのだろうなと思います。
その中で、価格が安かったのはCrucial MX500 CT1000MX500SSD4/JPWESTERN DIGITAL WD Blue 3D NAND SATA WDS100T2B0Bの2製品でした。

どちらも速度はほぼSATAの限界に達しており、NANDはTLCなのでQLCよりはTBWも大きく、耐久性も十分にありそうです。NVMeは高価格帯製品は速度面などで大きな差がありますが、SATAではあまり高価格帯の製品を買う必要性は感じませんでした。

まとめ

私は結局、発熱の心配と、SATA以上の速度は現状不要ではないかということで、M.2 SATAで最も安いCrucial MX500 CT1000MX500SSD4/JPを選びました。
メーカーもCrucial で信頼できそうですし、レビュー等も問題なさそうだったのでコスト優先で選択しました。

速度はSATAでも十分という方は、取り付けや配線が楽で、発熱の心配も少ないM.2 SATAのSSDも選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

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